映画『パラサイト 半地下の家族』が日本でも有名になり、韓国の半地下(パンチハ)住宅の存在を知ることになった人が多いようだ。正直私も、一時期は半地下にお世話になったことがある。映画を通して半地下のイメージは貧困となっているが、家賃の安さが売りなのである。安さが売りの住居空間としては他に、屋上に家を増築したオクタッパン、そして考試院(コシウォン)がある。
考試院は、ウィキペディアにも出ているが、大学入試や公務員試験(=考試試験)の受験者が、いわゆる缶詰になって試験勉強をする小部屋、安価な宿泊施設のことである。ただ、在学生も生活費を節約するため考試院に住んでいる人も多く、私が留学生のときに使っている友人も多かった。
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平均3畳程度の空間に、机、クローゼット、ベッドがあり、恐ろしく狭い。トイレ、シャワー、台所、洗濯機は共同だ。テレビやミニ冷蔵庫はある部屋が多い。シャワーやトイレまである部屋もあるが、値段はあがる。安いところで月2万円台、高いところで月5万円台が相場だ。
考試院についてもっと知りたい方はネットに出ていると思うので各自検索してほしいが、私もこの考試院には、計5箇所お世話になった。そこで起きたトラブルは数知れず…全部書いていると長文になるので、今日は一箇所紹介したい。
学生街の考試院を2回、そして学生街ではないところの考試院を3回利用した。学生街の考試院は学生同士のイザコザや国文化の違いのイザコザなどはちょいちょいあるが、そこまで気にするほどではなかった。しかし、就職して学生街とは関係のないエリアの考試院を住み始めたとき、その現実に直面したのである。
語弊があるかもないが、低所得=わけありの場合も多い現実。私も給料が少なくて考試院にしか住めなかったので、ネットで調べて見学に行き、1ヶ月に3万2千円という一番安い部屋に決めた。窓がない部屋だ。考試院は小さな窓がある部屋に住むだけでまた値段があがるのである。しかも階段下の部屋にしたので、天井が斜めの部屋だった。
先ほど紹介したが、部屋が激狭な上に、天井は斜めで窓がないという独居房よりひどいんじゃないかと思う空間。でも、狭さは承知の上だし、会社から近いし、憧れの韓国生活だし、私は当初なんの心配もしていなかった。学生街でも下宿や考試院生活の経験はあったし。共同の台所では、他の部屋のおばちゃんに親切にしてもらって焼き魚をおすそ分けしてもらったりしてそれなりに楽しかった。
でも、だんだん色んな部分が見えてきたのである。
まず、学生街の考試院と違って、若くない人も多かった。人生は色々なので悪く言うわけではないが、やはり年齢を重ねてここに住んでいるのはなにか事情がある場合が多いようだった。夜間のお仕事の方も多くて、生活パターンが違う。隣の部屋の人がコンビニのビニール袋を開ける音も聞こえるくらいの防音設備がないのが考試院の常なので、これが結構きつかった。
それから、色んな背景の人がいるので、共同のシャワーとトイレの使い方が悪く汚かった。下宿生活で共同の水周りには慣れていたが、ある日、床に血が落ちていたときはさすがに気持ちが悪かった。また、排水溝がつまっても、あんまり掃除が行き届いてないのか、水が足元にたまってくることがあった。
また、管理人が弁護士試験の準備中なのかいつも管理室で勉強しているのだが、週末になるとお酒を飲んで、奇声を発していた(笑)酒癖なのだろうが正直怖かった。部屋の鍵だけでは心細いときは、スーツケースに付ける長いチェーンを、ドアノブと椅子などの重いものにつなげて寝ていたときもあった(笑)
さらにダメージを受けたのが、梅雨になり、その斜めの天井にカビが生え始めたのだ。ベッドの上の天井で斜めなので、目の前にカビが生えているのだから気分が悪い。
そして極めつけは、変なおっさんの出現だ。ここは台所や洗濯機、屋上の洗濯を干すところは男女共同の施設だった。当然、いろんな住人と鉢合わせるのだが、世間話になることもある。あまり親しくする気はないが、簡単な挨拶や会話はする。ところがあるおっさんは、最初はいい人だったのに、だんだんしつこく話しかけてくるようになりちょっと面倒だなと思ったので、距離をおいたら、それを不満気に指摘までしてきたのである。
留学生時代までは下宿で男女共同でも問題なかったし、仲良くなった友達とみんなで遊んだりした。でも、ここは違うのだ。もちろん考試院は下宿と違って交流は基本ないのは知っていたが、危なそうな人が多くて嫌になった私は、男性のいない女性用考試院への引越しをするのだが、そこでさらにまたさらなるトラブルが勃発するのであった(笑)
コシウォンに住むことが悪いことではないし、安くて、そこに助けられていた私としてはありがたいところだった。でも環境がやはりあまりよくないので、コシウォンがなくてもいい世の中になったらいいと心から思います。
<トジョンのライター担当サイト>
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